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大地の恋
第4章 再会
帯をほどくと浴衣を開くことなくキスに集中する。


男とは拙い者を可愛らしく思うようにできているのだろうか。
ぎこちない舌の動きとさっきから強く握りしめたままの俺の浴衣。


この子を女にしてやりたいと本能が疼き出す。



「こんなに握ったら皺になるだろ」


クスリと笑って冷たい手をそっと剥がす。


「あ、ごめんなさい…」


「千花ちゃんの手はここな」


俺の首に巻き付けさせると千花ちゃんが小さく頷く。


「そんなに緊張して大丈夫?」


「はい」


「……電気、消そうか」


「………」


目を潤ませ頷く千花ちゃんをずっと見ていたいのは山々だ。


でも……それはどう考えてもこの子にはハードルが高すぎる。



立ち上がり電気を消すと部屋は真っ暗になった。
感覚だけを頼りに千花ちゃんのもとに戻ると千花ちゃんはぎこちなくも律儀にまた腕を絡める。


「…少し話しようか」


「えっ」


「ホラ、俺に何か聞きたいこととかねーの?」


頭の下に腕を遠し抱き寄せた。
人肌というのはどうしてこんなに温かいのだろう。


そして好きな人の温もりはどうしてこんなに愛しいのだろう。



「…板橋さんって小さい頃はどんな子だったんですか?」


「えっ、そいいう事?」


「違うんですか?」


「いや…そうだな…おとなしい子供ではなかったな」


もっと色っぽい事を聞かれるかと思ったのに。


「…子供の頃の話すると元カノ出てくるぞ。本当に身近な子だったから」


「うん、でも聞きたい」


空いた手で千花ちゃんの髪をときながら子供の頃を思い出す。



「いつもそいつ泣かしてはお袋にこっぴどく叱られた」


「好きな子には意地悪したくなっちゃうタイプなんですね」


「どうかな…モタモタしてるから苛ついて怒ったりしてたけど」


「えーっ、可哀想。……小さい頃から好きだったんですか?」


「いや、さすがにそんなじゃねーよ」


「そうですか?意外と気づいてなかっただけかもしれないですよ」


真優の話を受け止め悪戯に返す千花ちゃんが面白くない。
少しくらい妬いてもいいのにと思う自分の器はやっぱり小さいようだ。



「…もう良くね?こんな話。つーかそういう千花ちゃんは?」


「私ですか?」


思い出すような少しの間が開いた。









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