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斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君
それから
2人は用もなく
帰るだけだと言うから

僕は
2人を
駅の近くにある
ファミレスに誘った



店を出て


3人で
並んで歩くと

勝手に頬がゆるみ
僕は
本当に
しずくの親になったような
気がしてならなかった




「かすみちゃん」




「ん?」




「こないだは
・・ごめんね

メールに気付かなくて
寝ちゃってたんだ(苦笑)」





「いいの

でも、ちょっとだけ
心配したんだよ?

風邪でも
引いちゃったのかな・・って」








「あ・・



ありがとう



心配なんて・・

してもらえて
うれしいよ」





誰も
僕の心配なんて
してくれなかったからね





「・・うん」







「・・メール・・とか・・」






「ん?」







「メールとか電話とか



しても
いいかな・・


・・・夜とか」







「・・うん」






しずくの右手は
かすみと手をつなぎ

僕は
しずくの左手と
手をつないでいた



僕と
かすみの間に
しずくがいて



元気なしずくは
僕たちを引っ張るように
少し先を
歩いていた



かすみは
今日も
髪を下ろしていて


風に
髪が流れてる



さっき
香った
甘い香りが

その風にのって
僕に届きそうで



届かなくて



その香りを
もう一度

感じたくて
焦れったい






今日は
僕からメールしよう





夜、しずくが
眠った頃に






今度の休みに

また




会いたいと。

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