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斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君
「斉藤さん・・・」



あ・・あれ・・?



かすみは
少し戸惑った顔をしていた



てっきり
喜んでもらえると
思っていた
僕は


少し
焦ってしまった





「あ、えっと

その・・


よかったらって話で


そ、そうだよね


そんな
大切な子供を
預けるなんて
簡単にはできないよね


ご、ごめんね

変なこと言って」








「ち、違うの

ありがたいし
うれしいの・・ほんとに




でも
しずく
我儘だから

それに・・あの・・



えっと・・


だから


もうちょっと
斉藤さんに慣れて

しずくの
わがままさも
斉藤さんに分かってもらえたら



そしたら
困った時は



よろしく
お願いします」





歯切れの悪い
かすみの言葉が

実は
迷惑な話なんだと

僕は
遠まわしに感じた





「う・・うん


そうだね



もっと
仲良くなってからが

・・いいかもね」






そう言って
しずくを見ると


しずくは
ちょっと
残念そうな顔をしていた






「おとーさんなのに・・」





ほんとに
変な話だね


父親なのに


仲良くならなきゃ

とか



そんな話。





子供のしずくが
聞いていても
どこか


おかしな話。







なんだか
やるせなくて


僕が
ちょっと苦笑いをして
かすみを見ると




かすみも

苦笑いを
浮かべていた



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