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Deep Emotion
第3章 弟
何これ。

門倉さんの住むマンションに着いた私は固まった。

テレビでしか見たことないような、背の高いマンションが目の前にある。

背も高いけど、家賃も絶対高い。

駐車場に車を停めた後、私達はマンションのエントランスまで歩いた。

エントランスには数字の並んだパネルとセンサーが付いた銀色の台が置かれている。

門倉さんがセンサーに鍵をかざすと、マンションのロビーに通じるドアのロックが解除された。

ロビーからエレベーターに乗り、門倉さんが31階のボタンを押す。

「門倉さんってここに独りで住んでるんですか?」

ぐんぐん上昇するエレベーターの中で、私は質問した。

ハウスキーパーを雇う辺り、奥さんとか同棲中の彼女とかいなさそうだけど。

「いや、独りではないよ。弟と住んでいるんだ」

「弟さん、ですか?」

「そう。年が離れてて…、あ」

エレベーターが31階に着き、ドアが開いた。

門倉さんが歩き出し、私もそれについて行く。

通路が広くてきれいだし、並んでいるドアの数が少ない。このフロアは、少数しか住めないようになっているのだろうか。

「ここだよ」

門倉さんが一つのドアの鍵を回して、扉を開ける。

靴を脱いで上がり、リビングに通されると、そこには私と同い年くらいの男の子がいた。

「陽(よう)、ただいま。帰ってたんだ」

「お帰り。…その人、誰。彼女?」

陽、と呼ばれた男の子は私をじっと見た。

門倉さんもだけど、この人も顔が整っている。

「住み込みでハウスキーパーをしてくれる、藤澤さんだよ。藤澤さん、こっちは弟の陽」

門倉さんがにこやかに紹介をした。

「は、初めまして、藤澤澪です。よろしくお願いします」

「門倉陽。よろしく」
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