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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る



 二時間ほど時間が経過した頃、流石に疲れてきたのかレオが背伸びをした。


「少し休憩させてもらえないか?」


「え? あ……ごめんなさい。どれくらい時間経ってました?」


「アリエッタ」


「あ……い、今のもなしで!」


 咎められるよう言われ、また慌てる。集中していたせいでレオとの約束はすっかり意識の外に飛ばされていた。


「まあ、いい。その代わり、休憩も兼ねて遊びに付き合ってくれないか?」


「遊び? え、ええ。でも私に出来る遊びなんてあるかしら……」


「簡単な遊びだ。心配するな」


 レオはそう言うと上着の内ポケットから見事な細工を施された銀の懐中時計を取り出した。


「使うのはこれだ。針が一周するのを見ずに当てるんだ。より近かったほうが勝ち。な、簡単だろ?」


「そうね、それなら出来そうだわ」


「ただし負けたほうは勝者の言うことをなんでも聞く……って遊びだけどな」







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