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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛



「たった今、話をつけてきました」


 王城のゲストルームで夫人──これからは公爵となるアリエッタの母とリリスが控えており、彼女たちにレオは報告する。


 公爵が万一レオの忠告を無視し、2人に危害を及ぼすことを危惧したレオは、ジョシュアに議会の最中に迎えに行かせていたのだ。


「お手数おかけしました」


 震えるリリスを抱く夫人が深々と頭を下げた。




 彼女は公爵と離縁するため、レオに協力を仰いできた。おそらくは通常の手段では決して納得しないと知ってのことだ。


 夫人はアリエッタが安心して帰ってこれる家をつくりたいと、公爵と離縁に踏み切った。


 そして彼女は薄々公爵が愛のない結婚をしたことも気付いていたのだ。


 だが前公爵が夫にしてきた仕打ちと、彼女が公爵を愛するが故にこれまでアリエッタへの仕打ちを見てみぬふりをし、口出しも出来なかった。


 アリエッタが出て行ったことでようやく過ちに気付き、妻である前に母親であると自覚し。


 公爵に似たリリスばかり可愛がり、歪んだ愛情を向け、リリスの今後も考えた結果、別れたのだ。





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