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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに



 腰まである長い蜂蜜色の髪をきっちり結い上げ、首元まで隠す白いワンピースを纏い、髪がはみ出てしまわないよう白いベールを目深に被る。


 この白い修道女服は見習いの証である。


 アリエッタはその白い様相で机の上にある鏡を覗き込む。どこにも乱れがないか確認するためだ。


「大丈夫そうね」


 呟いて、あてがわれている部屋を出る。まだ薄暗い廊下を歩き、礼拝堂に入る。朝の礼拝は日が明けきらぬうちから行われる。


 紺や白の修道女服を纏う女たちは皆、熱心に祈りを捧げている。アリエッタもまた指を組み、ただ一点を願って瞼を伏せ続けている。


 礼拝が終わると、それぞれに割り当てられた仕事へと向かう。


 食事の準備をする者、菜園場へと向かう者。水汲みに近くの川へと向かう者もいる。


 アリエッタは併設されている孤児院へと行き、寝静まっている子供たちを起こすべく、カーテンを開いて窓を開けた。







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