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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに


 逆光で顔は見えなかったが、小柄でほっそりとしたシルエットにアリエッタは立ち上がる。


「ごめんなさいね。邪魔してしまったかしら」


 声の主はアリエッタの予想通り、修道院長のマザー・ステラだった。


「マザー。いいえ、大丈夫です。マザーも礼拝ですか?」


「アリエッタに話があってきたのよ。少しいいかしら」


「はい、もちろんです」


 マザーがアリエッタに座るよう促し、腰掛けると彼女はアリエッタの隣に座る。


「アリエッタがここに来て半年経つわね。もう馴れましたか」


「はい。まだ戸惑うことも多いですが、皆さんよくしてくださるので」


「そう……。アリエッタはいつも熱心に祈っているようですが、なにをそんなにお祈りしているの?」


 立ち入ったこと訊かれ、戸惑う。アリエッタが知る限り、こういったことはなかった。


 働かせて欲しいとマザーにお願いしたときも、ただ頷いてくれたから。







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