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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに



 レオは唐突にアリエッタを横抱きにした。


「……ダメだ。限界だ」


「え? あの……。まっ、待って!」


 ツカツカと進む先に見えた寝室にアリエッタは慌てる。


「待てない。アリエッタの顔を見たときから抱きたくて堪らなかった」


 真顔で言われても対応に困ってしまう。


 こうなると予想しなかったわけではないが、心の準備をしたい。それにだ。


「せめてその……湯あみをさせて欲しいの」


 もごもごと言えば、レオは嘆息する。


「どうしても?」


「はい……」


 汗もかいてしまっているし、レオの邸にいた頃のように修道院では毎日湯に浸かれるでもないのだ。


 汚れた身体でレオと身体を重ねたくない気持ちを察してほしい。


「わかった」


 レオはアリエッタを抱き上げたまま、浴室だと思われる部屋に連れて行った。









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