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第10章 依頼人　高橋　美樹

ー俺は誰もが羨む人生を歩いていた。

　学生時代は成績は優秀
　イケメンと呼ばれバスケ部のキャプテン。
　女にも相当モテた。
　自分から声をかけずとも女は寄ってきた。
　自分の飾りに俺を利用する女たち。
　俺も自分の欲望の捌け口に女を利用した。
　彼女だと言い張る女は面倒だったから
　すぐに関係を切った。

　T大にも入れると教師は気色ばんだが
　官僚を目指していなかった俺は
　金持ちになりたくてK大の法学部へ進んだ。
　学生時代に司法試験にも合格していた。

　俺は都内でも有数の弁護士事務所に入った。
　最初は小さな事件や離婚裁判ばかりを担当していたが
　俺は中身に興味がなかった。
　俺は勝つことだけに執着した。
　それが人の道に外れていようがいまいが
　依頼人の希望だけを追求した。
　
　そんな俺の噂は広がり
　次第にクズどもからの依頼が舞い込むようになった。

　政治家、官僚、財界人
　裏社会の揉み消しに俺は得意万目に望んだ。
　クズたちの報酬は破格だった。

　俺の勤める弁護士事務所はもともとクズたちを相手にしていたから
　誉められそこすれ蔑まれることはなかった。
　俺は弁護士事務所でも羨望の的となった。

　金も女も欲しいものはなんでも手に入った。

　俺は勝つことだけに執着した。