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第10章 依頼人　高橋　美樹

　そんなある日あの依頼が舞い込んだ。

　金持ちの娘が学校でやらかした事件
　自分の彼氏が心変わりした女を
　徹底的に虐め抜いていた。

　影口、恐喝、暴行、挙げ句にレイプ
　事件が学校で明るみに出た娘は
　あろうことか親に泣きつき
　その被害者を加害者とでっち上げ
　慰謝料請求の裁判を起こした。

　誰がどう見てもその娘が悪いのは明らかだったが
　その娘は学校中の生徒に金をバラマキ
　その女生徒の味方になるものには
　根も葉もない噂を広げた。
　自然女生徒は孤立する。
　苦言を呈した教師には親に頼んで退職を強要。
　学校側も毎年多額の寄付をくれる女生徒の親を
　敵にまわす勇気はなく
　学校中が彼女に支配されていた。

　俺は資料を見て娘の関与を認めたが
　依頼人は娘の親だ。
　俺の知ったこっちゃねえ。
　淡々と慰謝料請求の裁判を進めていった。