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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
「実は綾瀬瑠璃さんについて調査依頼がありまして」

洋輔は背を伸ばし男をまっすぐに見つめた。
探偵というよりは銀行マンのようだ。

男はそれには答えず洋輔の言葉を待った。

「少しお話しいただけないかと...」

「俺が?」

男は煙草に火をつけた。

「今、一緒にいらっしゃいましたよね」

洋輔は探るような目で男を見つめた。

「だから?」

男は煙を吐きながら横目で洋輔を見た。

「私もいいですか?」

洋輔は胸ポケットから煙草を取り出した。

「どうぞ」

男は洋輔に灰皿を近づける。

二人の間に沈黙が流れ煙草の煙だけがその空間に漂う。

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