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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
「それで?」

男が洋輔を急かす。

「実は厄介な人物が絡むかも知れないんでね。
 あなたがどの程度関われるか確認したい。
 出来れば瑠璃との関係をお聞きしたいんだが」

洋輔は真剣な顔で話し始めた。

「それならこちらだってあなたを信じていい要素がない。
 あなたが先に瑠璃との関係を話すべきじゃないかな?」

洋輔はフッと笑った。

「そうですね。
 では、僕から話します」

洋輔は少し遠い目をして
どこか懐かしむように話し始めた。

「瑠璃と出会ったのは彼女が高校生の時です。
 実は俺が探偵をはじめるきっかけとなったのが彼女でした。

 ...俺は以前は弁護士をしていました。
 ある事件がきっかけで弁護士を続ける気になれなくなって燻ってたんですがね、瑠璃のお陰でまた生きる希望みたいのが見つかってなんとか今もやってるんですが...」

洋輔は一度口を接ぐんで珈琲を一口飲んだ。

「俺が出会ったとき彼女は本当に最低な生活をしていた。金がないとかじゃないんですがね、親からの愛情をまったく受けずに育っていて...
 あまり詳しくは言えませんが、とにかく最低な生活だった」
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