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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
洋輔は笑顔を載せたまま男に言葉を続けた。

「ちょっとややこしい事情がありましてね。
 できればあなたに協力していただきたい」

洋輔は笑顔を向けたまま鋭い視線で男を見つめた。

「俺が協力?」

男も洋輔を見つめ返した。

「ええ。
 見たところ瑠璃はあなたをとても信頼しているようなんでね」

洋輔は探るように男を見た。

男は大きく溜め息をついた。

「ったく。なんで俺なんだよ。
 俺はもうすぐ結婚するんだから厄介事はごめんだよ」

洋輔はニヤリと笑う。

「ご迷惑のかからない程度の内容ですよ」

「わかりましたよ。
 一応話だけは聞きます。
 協力できるかはわかりませんよ」

諦め顔の男に洋輔は極上の笑みを向けた。

「あなたはそういってくれると思った」

男は至極不機嫌な顔を洋輔に向けた。

「そんな顔しなくても大丈夫ですよ」

洋輔は店員を呼び男の分も飲み物を注文した。

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