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第10章 依頼人　高橋　美樹

「瑠璃のところにいってくる」

「かしこまりました」

助手が言葉を返した。

香川は事務所を出て東京電気へと向かった。

オフィス街にそそり建つ大きなビル。

香川はそのビルを見上げていた。

「よう...ちゃん？」

香川が声をかけてきた女に視線を移すと

女は嬉しそうに笑った。

「やっぱり洋ちゃんだ！
　久しぶり、元気だった？」

香川も女に笑顔を向ける。

「俺はいつでも元気だよ。
　お前を迎えに来た、瑠璃」

瑠璃は目をぱちくりさせた。

「なんかカッコいいセリフなんだけど
　やっと私の思いが通じたの？」

瑠璃は香川を下から覗きこむ。

「ばぁか。
　心にもないこと言ってんじゃねぇよ」

そう言って瑠璃の頭を軽く叩いた。