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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
ざわめきが瑠璃に近づくのを感じていた。

「綾瀬、北海道の資料をもってミーティングルームに来てくれ」

頭上から降り注いだ声は怒りが込められていた。

瑠璃ははじめて高橋に目を合わせる。

自分の動揺を悟られないようにあえて無感情に小さく

「はい」

と返事をした。

ミーティングルームに入るといきなり高橋から抱き締められる。

溢れ出しそうな涙をこらえ

高橋を冷たく突き放した。

なんとか冷静を装ってミーティングルームを出たが扉を閉めたと同時に涙が溢れだし
化粧室の水を溢れさせながら大声で泣いた。

こうすることでしか高橋を守れない。

不倫の悲しい現実だった。


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