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目が覚めたら。
第2章 とんでもないことになってました。
 

「俺の親父とお前の親父が、中学時代からの親友だっていうことはお前も知っているだろう?」
 
 あたしは頷いた。

 男同士の友情が昂じて、互いに結婚したら隣に家を建てたらしいことも。


「俺昔に親父の高校時代のアルバムを見たことがある。お前の親父……あだ名は"百貫デブ"だそうだ。三桁を遙か超える体重の、相撲部のエースだったらしいぞ?」


「そんなの初めて聞いた!! え、それがなんであんなにガリガリ……」


 はたとあたしは思い至る。


「まさか、実はママの方が、結婚前は細くて……のパターン?」

「おぅ、そのパターンだ」

「だったらママが淫魔で、相撲部の名残を消し去るほどパパの精気を吸い尽くして、さらにパパが死んだ後は……吸い尽くすものがないから餓死してしまった……パターン?」

「正解だ。ミジンコの脳も、体のように成長するものだな」

「そうだね。だてにしーちゃん、BカップからDカップのアラサーになってなかったね」


 あたしは慌てて病衣の内の胸を覗く。


 うぉー。なんだ、谷間が出来てるっ!

 胸の盛り上がりと同時に、心も盛り上がる。


「ふわふわだし、触り心地も抜群だよ。乳首も可愛いピンクのままだし」


 ……その胸事情をなぜ知るのか、コイツは。


「病衣を押し上げる尖りもエロチックでいいけど、ちゃんと僕はブラをつけてあげたよ。だってしーちゃんは、女の子だものね」


 あくまで爽やかな、邪心などなにもないという微笑みで。


 なんであたしの趣味ではない清楚系白いブラに、『ナツ専用』と書かれたハートのシールが貼ってあるんだ。あたしは手を突っ込みシールを剥がすと、くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。


「しーちゃん酷い。僕がしーちゃんの体を清拭して、ブラを替えてあげてたのに」

「だったら目を瞑って替えやがれ。はっ、まさかあたしのパンツも……」

「おう、それは俺だ。……なんだその目。文句あんのか? 赤ん坊のお前のオムツも替えてやっていた俺に。……あ!?」

「……い、いえいえ、滅相もない」

「僕も見たかったのにな、しーちゃんの大事なアソ……」

「黙れ、歩く18禁! お前の頭の中には、普通の着替えという概念はないのか!!」

 
 踵で、すすり泣くナツのスリッパの先をぐりぐり、ぐりぐり。

 
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