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目が覚めたら。
第2章 とんでもないことになってました。
 

 ハル兄がわざとらしい咳払いをしたから、あたしとナツは背筋を伸ばして、再び"聞き"の体勢になる。


「お前の母親は、お前の親父と俺の両親そして俺に……早くからその特殊体質のことを打ち明けていた。お前をどうにかして守りたいと」


「だけど僕だけは除け者……しくしく」


 梅雨でもないのに、じめじめした空気は無視するに尽きる。


「お前のお袋の家系は、代々淫魔の体質を受け継いできたらしい。突然変異した祖先から引き続く体質なのか、本当にファンタジーの如き淫魔の血を受け継いだのかはしらん。

男には引き継がないという、女特有のこの特異体質は、処女喪失で発現されるという」

「しょ、しょ……!?」


「おぅ、そうだ。男のイチモツで膜がぶち抜かれることだ。無事開通したら、潜在化していたSホルモンが目覚めて活性化する。

目覚めた淫魔を満足させるためには、ただオーソドックスに膜ぶち抜いて擦って出すだけでは無理だ。淫魔の体は単純には出来てねぇ」


 もうやだ。絶対これ、医者の言葉じゃない。

 もっとやんわりと言えないのかな。


 真剣な顔で言われているだけに、無闇に茶々を入れることも出来ず、あたしは僅か遠い目をしてハル兄の言葉を聞いていた。


「Sホルモンが目覚めた淫魔の体には、膜のさらに深層部の子宮口に、小さい触手のような繊毛で男の精液を毟りとろうと蠢いている。いわば、イソギンチャクみたいのがいるようなもんだ。

ここを刺激されると淫魔の体は絶頂を迎え、その後に男性ホルモンを凝縮させた……精液をぶっかけられれば、Sホルモンは沈静化する。だがSホルモンも黙っちゃいねぇ。そうした刺激がなければ、生き残りをかけ、一定期間で入り口を守る処女膜を再生する」

「え?」


「お前の処女膜は再生される。ぶっ込まれる度に痛みを感じたくなければ、膜をぶち抜かれてから1週間以内にイソギンチャクでイき、中ダシをされることだ。だがイソギンチャクは、ミミズ千匹、数の子天井とならぶほどの名器らしく、普通の男ならそこに到達するまでもたない。つまり、長さとテクと持久力を持たぬ男が、膜破るだけで満足し、活性化したSホルモン漬けになった状態でいると……」

「と?」


「精液だけではない、生命力、肉体までも吸い上げ、風塵化されちまうんだと。つまり、相手の男は跡形もなく消し去る」
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