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目が覚めたら。
第3章 変態王子様は×××でした。
 なにこれ、なに!?

 今まで、こんなキスはしたことがなかった。

 今まで、こんな衝動を覚えたことはなかった。



 知らぬ間に、押しつけている体。

 勝手にナツの首に回している手。


 もっとしたい。

 もっとナツを感じたい。



「ぁ……んんっ、しーちゃ……」

「ナツ……んっ、もっと……」



 チーンと音がなって開きかけるドア。

 初老の男が見えた。


 ナツは性急なキスを止めることなく、長い足を後ろに伸ばし、苛立ったようにダンダンと「閉」のボタンを蹴り飛ばす。あたし達にぎょっとするおじさんを閉め出して、エレベータは上昇する。

 ぼんやりと見える、点灯しているどこかの階のボタン。



「ま、また、上でっ……ふ、ぁっ、止ま……ナツ……んっ、あっ……」

「しーちゃ……っ、取った……んんっ、部屋、だから……」


 再び、チーンと音が鳴りエレベータが開いた。


 ナツは、はぁはぁ息乱しながらあたしから唇を離す。

 唇を繋ぐのは淫らな銀の糸。

 欲情がまだ消えていないと、糸は長く長く延びる。


「しよ……?」


 あたしを見るその目は……あのポスターのようで。

 否――。


 それ以上に、明らかに発情した男の瞳。

 ナツというオスの持つ本能。


 どくん。


 あたしの中のメスが反応する。

 本能なのか、淫魔によるものなのか――。



「抱きたい……」


 濡れた赤い唇が、あたしを誘う。


「……静流」



 ……呼び捨て、反則。


 あたしも、ナツが欲しくて仕方が無くなるから。

 

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