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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「静流……」


 甘ったるい声が聞こえると、ハル兄がとろりとした目であたしを見て、あたしの頬を大きな手で摩り始めた。

 愛おしそうに――。


 こんな無防備に恍惚とした表情をするハル兄を見るのは初めてで、あたしの方が快感を感じてしまう。


 以前のように大きく固くなるようにと願いを込めて、舌先も手も使いながら念入りに扱いていけば、一度大きくハル兄の上半身が揺れた。


 僅かに乱れた黒髪、紅潮した顔。

 眉間には皺が寄せられ、苦しげに目はつぶられている。

 反らされた、オトコらしい喉もと。

 半開きの唇からは、乱れた息遣いが聞こえ始める。


 帝王様の乱れ具合は、悩殺的だ。

 思わず見惚れてしまうほどに。


 
「ハル兄……気持ちいいの?」


 じゅぽじゅぽという卑猥な音を交えながら、そう上目遣いで聞いてみれば、静かにその目が開かれ、蕩けたような顔で微笑んだ。



「ああ。……気持ちいい。

俺、フェラでこんなに気持ちよくなったことねぇのに……」


 あまりに反応が素直すぎて、うっとりと褒めてくれたから、あたしは照れてしまった。


「それはきっと、あたしの愛が偉大だからだよ?」


 照れ隠しにそう笑いながら、張り出た部分にぐるりと舌を這わせれば、ハル兄がやるせなさそうな顔つきをして、あたしの髪を手でもどかしく撫でてくる。


「お前、愛……をくれてるのか?」

「勿論。溢れんばかりの愛で、やってるよ?」


 そう冗談っぽく返しただけなのに。

 いつもの調子で"そんなへたくそなテクから愛など感じねぇ"とか、毒突いてくるかと思ったのに。



 ハル兄は――


「――っ」


 泣きそうな顔で、嬉しそうに微笑んだんだ。



 なに?

 なんの表情なの?


 今までに見たこともない、あたしの心臓を鷲づかみにするような、破壊的なその笑顔。

 ふんぞり返ってばかりいる帝王様にまるで似つかわしくない、穏やかで清廉な笑顔に、あたしが驚いている間、むくむくとハル兄のモノが大きくなった。


「あぁ……すげぇ、威力満点。はは……っ」


 とろんとした眼差しで空笑い。


 今までの限界を超えた自覚があるのだろう。

 だがハル兄の全盛期はこんなものではない。


 もっともっと雄々しく反り返る、傍若無人な帝王様の生き写しなのだ。
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