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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

「――で? 12年後の東京見物に放してやったはずなのに、なんでホテルの石鹸の匂いをぷんぷんさせて帰ってきたわけ?」


「やだなぁ、波瑠兄。そんなの聞くだけ野暮だって。ねぇ、しーちゃん?」


 もじもじ、もじもじ。時折ちらっ、ちらっとあたしに流し目。

 思いきりなにかありましたというジェスチャー。

 しかもナツのこの……照れたような嬉しそうな顔。


 初体験を経験した乙女のようだ。


「ご、誤解を招く態度はよそうね、ナツくん」


 ほら、帝王の視線が冷たいの……気づいてあげようよ。


「……シズ。ナツの消化不良ながらもその嬉しそう&すっきり顔と、お前のやけに艶々した顔が、すべてを物語っている」


 むくり。

 野生の王者ハル様が上体を起こす。


「目覚め早々……担当医の許可も相談もなく。勝手に精液まみれでご帰還あそばして、知らぬフリを決め込もうとしたのか。あ゛~!?」


 恐い、恐いよ~。

 なんでこの人、こういう脅しがサマになっているんだろう。


「お、お医者さんらしからぬ態度は控えた方がいいと……。ほら、病室では静かに、が入院の基本精神じゃ……」

「ここは特殊病棟で現在、俺、お前、ナツの3名しかいねぇし、スタッフは要請しなきゃこねぇ。ちなみにここの病室も診察室も防音完備。その上で気遣いができる俺が、本来の100分の1に抑えているだろうが」

「それで100分の1っ!?」


「いろんな組からスカウトされた、伝説の13代目「飛龍」総長をなめんじゃねぇよ」

 
 ……今、この人……どや顔でさらりとなに言った?


 あたし知らないよ?

 意味不明単語だよ?


「か~っくい~。さすが元総長っ! 今度あの特攻服着て言って欲しいや」


 パチパチパチ。

 拍手を送るナツが、目をキラキラさせながら言う。


 特攻服ってなんですか?

 なに勝手にやんちゃしてたんですか、ハル兄!

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