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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

「ねぇ波瑠兄。病院の入り口に警察が沢山いたけど……なにか事件?」

 ナツが思い出したかのように、話題を変えた。

 そう言えば、正面玄関にパトカーがやけに多く停まっていた気がする。

「ああ、なんでも強姦魔が護送車から逃げ出して、通行人の財布を奪い、この病院に逃げ込んだとタレコミがあったみたいだ。この病棟はセキュリティーがしっかりしているから大丈夫」

 違う病棟は人ごとらしい。

 ナツが唸るように言った。


「素直に強姦罪だけで終わらせばいいものを、そこに強盗罪が加われば、3年以上20年以下の有期懲役が、無期又は7年以上30年以下の有期懲役になる。馬鹿だよね……ホント。そういうのに限って、財布には小銭しか入ってないとかのパターン踏むんだ」


 ちょっと、ナツさん……。

 あなた今、何語をさらりと喋りました?


「そういえばお前、試験提出用のレポート……教授の学会発表に盗用されたんだったよな。あれどうなった?」

「最悪だよ。あれで味しめて開き直ってさ、単位取得を餌に、体を捧げるか論文を書き続けるか二択を迫るんだ。だから致命的欠陥ある論文を書いて渡したら、それすら見抜けぬアイツ、学会で笑われて追放。非常勤扱いに降格してたよ。モラルが低下してるよね、大都大学の法学部は」

 大都大学……とは、東京で一番の難関私大とされるところでは? その法学部は難関最高峰だったはず。……12年前の記憶では。

「ナ、ナツ……? あんたが通う、滑り止めの大学&学部ってどこ?」

「大都大学法学部」


 ナツは拗ねたように言い捨てる。


「え……と、夜間とか通信とか?」

「普通の。きちんと昼間、キャンパスに通ってる。……ハル兄は東大なのに、僕は大都なんて、しーちゃんも馬鹿だと思うでしょう? ……東大二次当日、なんで40度の熱を出しちゃったんだろう」

「運も実力だ。俺だってセンターはやばかったんだからな。なぁ、シズ」


 ハル兄に睨まれている気がするが、なんであたし関係が?

 ああ、そんなことよりも。

 あのハナタレクソデブのお馬鹿ちゃんが、大都大学法学部。

 それで苦学生のバイトとして、あんな凄いブランドのイメージキャラクターをしてゴールドカード持ち歩けて、だけど中身は残念な変態。


 ふ・ざ・け・る・な。

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