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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

「シズ。今のお前の体調不良は、採血だけが原因じゃねぇ。ナツの栄養分が切れてきたせいだ。明日精液補給隊が帰ってくる。アイツが戻るまで、お前は精液断ちして貰うぞ」


 ……まるで親鳥を待つひな鳥の気分。親鳥がくれるのは精液だというのが、ファンシー通り越してグロい。牛女の世界に入りかけている気がする。


「ナツを待つのはいいけれど、もし生きていなかったらどうするの?」

「そりゃあ10人分、精液飲むしかねぇだろ。嫌ならナツの無事をひたすら祈ってろ。愛の言葉でも贈れば、アイツ、死の淵にいても生き返る。ゾンビになってもお前に精液与えにやってくるさ」


 けけけとハル兄は笑うが、ゾンビから精液なんて貰いたくない。だけど確かにナツなら、ゾンビになっても来そうな気がする。欲望が大きすぎて成仏など絶対しなさそうだ。

 ……今度、超強力な悪霊退散のお札、手に入れなくては。


「……。ハル兄は、ナツを推すけど……いいの? 可愛い弟を、わけのわからんものになりはてたあたしの餌食にすることに」


「ナツは喜んでいるんだ、問題ない。それにもし適合者が違う男だったら、アイツ平気で切り刻みそうだからな。ナツが適合者で世も安泰だ」

「さすがにそれは言い過ぎでは……。ナツはひとを殺すような子じゃ……」

「お前はナツの狂愛ぶりがわからねぇんだよ。ナツはお前や俺がいる時こそ、あんなガキじみて独占欲丸出しの馬鹿なド変態になっているが、お前が眠っていた12年間、アイツの通り名は"冷酷王子"。他人に見せている顔は、まるで真逆、冷笑しながらキレまくって、ここ界隈では"キレさせたらいけないブラックリスト"の二段目にあったらしい強者だ。ちなみに名誉ある一段目は俺様だ。だから気をつけろよ、シズ」


 威張り腐って自慢げに話すハル兄。

 自覚はあるんだ、キレたらやばくなるって。

 ……キレなくてもやばいと思うけれど。


「……俺もその頃は仕事が忙しくてナツとの接点が少なくなっていて、ナツの裏の顔を知らずにいた。ナツが俺達家族に見せる顔はにこにこしていたからな。

だが俺がちょうど休みで家にいた時、俺が兄だと知らずに来た、後代の「飛龍」総長が「ナツ様すみません、この度はご迷惑おかけしました、総長の座を差し上げますからお怒りをお鎮め下さい」と土下座しにきた」


 ……ナツ、お前なにをした?

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