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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘



 あたしは、この水着に貼られていたナツの付箋を思い出す。

 文字と言うよりは顔文字。


 (*´艸`)←こいつだ!!


 
 やられた。

 あたしは、ナツの変態さをなめていた。


 ナツが用意した水着の多くは、表向きは可愛くても、きっとナツが楽しむ卑猥なものばかりなのだろう。

 そしてナツもまた、自分と楽しもうと付箋を貼って、モモちゃんとあたしがふたりになることを考えていなかったに違いない。


 ああ、くそっ。


 変な仕掛けがなされていない水着は、スク水だけかもしれない。

 もしかして、ナツがそう追いつめようとしているのかもしれない。


「なんで溶けるものなんて、此の世で水着として販売してるの!! 一体誰よ、ナツにこんなことを教える卑猥な奴は!! きっとひとりの世界に閉じ籠もって、女がいたぶられる姿を妄想している変態仲間だわ!!」

「……すまん」

「なんでモモちゃんが謝るの!? ああ、それより着るもの、着るものっ!!」


 しかしそれはこのプールの向こう側。

 モモちゃんだって、海パンしか着ていない。


「モモちゃん0.3なんだから見えないわよね!?」

「近くなら見える」

「だったら離れて……って、なに!?」

「馬鹿っ、ひとが来たんだよっ!! 俺が離れたら……あんた見られるぞ!?」


 あたしはほぼ全裸のまま、モモちゃんに抱きしめられる。

 たしかにひとの気配。


「だめだめ、ここ。いちゃついてるカップルいるっ!!」


 子供の声。

 いちゃついてはいないが、来て貰っては困るゆえにじっと我慢。


「なんの虐めだよ……」


 モモちゃんが呟いた。


「ごめんね、女嫌いなのに……早く離れたいよね」

「………」

「モモちゃん? 苦しっ……」



「なぁ……。もし俺が、ナツや波瑠さんのような特殊な体していたら、このまま……あんた抱ける口実になれるのかな……」 


「え?」

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