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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 
 

「モ、モモちゃん……?」


 おずおずながらもぎゅっと抱きしめてくる、モモちゃんの熱い体温に焦る。とにかく焦る。 


 全裸だから焦るのか、全裸でも構わず抱擁してくるから焦るのか。
 

 もどかしい熱が、肌からダイレクトに伝わってくる。


 じりじり、じりじり。


 肌を焦げ付かすような、痛い熱。

 まるで真夏の直射日光を浴びているかのよう。


 熱くて……息苦しくて、くらくらする。



「俺……次点だったんだよ、ナツと波瑠さんの」


 モモちゃんの喘ぐような熱い息が、あたしの髪を揺らす。


「あのふたりのレベルには届かないけど、普通のオトコよりは……よっぽど、特殊な体質のあんたにとって"特別"になりえるんだ」



 モモちゃんの熱を触れたところが、たまらなく熱い。

 モモちゃんに溶けていきそうになる。


 ああ、お願い。

 耳もとでそんなに切なく囁かないで。


 "特別"


 こんな時に、ナツとハル兄の住む世界に入ってこないで。


「だったらさ……」



 モモちゃんは――

 高IQの嫌味で怒ってばかりで、だけどとっても気が利いていて。


 あたしのボケにきちんと突っ込んでくれる……ナツの親友で、ハル兄を崇拝している、ツンデレアイアンスーパーバトラーじゃない。


「ふたりがあんたの傍にいない、緊急時の時だけでいいから……」


 震える声が聞こえた。



 お願い――。


「俺を、思い出してくれないか」


 モモちゃんは、モモちゃんでいてよ。

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