この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

「モ、モモちゃん……?」
おずおずながらもぎゅっと抱きしめてくる、モモちゃんの熱い体温に焦る。とにかく焦る。
全裸だから焦るのか、全裸でも構わず抱擁してくるから焦るのか。
もどかしい熱が、肌からダイレクトに伝わってくる。
じりじり、じりじり。
肌を焦げ付かすような、痛い熱。
まるで真夏の直射日光を浴びているかのよう。
熱くて……息苦しくて、くらくらする。
「俺……次点だったんだよ、ナツと波瑠さんの」
モモちゃんの喘ぐような熱い息が、あたしの髪を揺らす。
「あのふたりのレベルには届かないけど、普通のオトコよりは……よっぽど、特殊な体質のあんたにとって"特別"になりえるんだ」
モモちゃんの熱を触れたところが、たまらなく熱い。
モモちゃんに溶けていきそうになる。
ああ、お願い。
耳もとでそんなに切なく囁かないで。
"特別"
こんな時に、ナツとハル兄の住む世界に入ってこないで。
「だったらさ……」
モモちゃんは――
高IQの嫌味で怒ってばかりで、だけどとっても気が利いていて。
あたしのボケにきちんと突っ込んでくれる……ナツの親友で、ハル兄を崇拝している、ツンデレアイアンスーパーバトラーじゃない。
「ふたりがあんたの傍にいない、緊急時の時だけでいいから……」
震える声が聞こえた。
お願い――。
「俺を、思い出してくれないか」
モモちゃんは、モモちゃんでいてよ。

