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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

 ハル兄を欲しいと恥を忍んで言ったのに。

 明らかにあたしの状態がおかしいとハル兄ならわかるはずなのに。

 ハル兄はあたしを慰めたり諭したりすることもせず、白衣の内から、買ったばかりの真新しいタバコを取り出すと、平然とタバコをふかし始めた。


 屈辱。

 あたしは、女としてハル兄を求めた。

 それなのに、上から目線のどうでもいい扱い。


「食事がしたいのなら、ナツを待て。お前が強制的に眠るように、大量の麻酔を打ってやる。それとも、力尽くで眠らせた方が早いか。お前の体に傷は残さねぇから安心しろ。目覚めた時、もし今の飢餓状態が持続していても、ナツをナカで食うな。あいつを消すなよ」

「ハル兄――っ!」


 なかったことにされる理不尽な突き放しに、ハル兄の胸ぐら掴んで抗議しようとしたあたしは、逆に接触することで、例の"どくん"にもっていかれて、ハル兄の前ではしたなく喘ぐ。


「ハル兄……っ、辛いの、体が辛いのっ。ナツを待てないっ!」


 悲鳴を上げて蹲り、あたしはぶるぶると震えた。


 欲しくて欲しくてたまらない。

 拒絶されればされほど、ハル兄を食べたくてたまらなくなる。

 体が急速に飢えるのがわかるんだ。


 "お腹がすいた、すいた、すいたっ!!"


 だけど食べられないのなら――。

 あたしなら抱く価値もないというのなら――。



「ハル兄が駄目なら、だったらあたし外でその辺の男を――」

「アホタレ!」


 蹲るあたしの頭上から、ボールペンが落とされた。

 ……垂直に。


 なにするねんっ!!


 それすら感じてしまうあたしの体の方が許せない。

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