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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 


 音がない静寂な空気――。


 思えばあたしとハル兄との間には、必ず喧噪があった。

 横柄なハル兄が一方的に繰り出す理不尽すぎる無茶難題、かつ下品極まりない戯れ言に……怒れるにしろ、呆れるにしろ、あたしが乗じているのがほとんどで。

 無言を強いられる長い緊張感は、ふたりの間には存在することはなかった。


 だから今――この窒息感が、すごく苦しい。

 苦しいから、余計に体が熱くなって悪循環になる。


 くらくら、くらくら。


 酸欠で、熱感で、苦しいよハル兄。


 それなのに、おかしいの――。

 まるで鋭いハル兄のその眼差しに、視姦されているそんな気分にもなっている。この緊張感に、間違いなく昂奮しているあたしの体。

 じんじんと疼いて熱く蕩ける部分が、もどかしくて呼吸が乱れてしまう。

 迫り来る欲の大きさに、目が滲んでいる。


「ハルにぃ……」

 
 ねぇ、黙っていないで、あたしをそんなに見つめて考え込まないで、いつものようになにか反応してよ。

 いつものように助けてよ。

 そうでなければ、あたし――。



 "ふふふ。ねぇ……どこから食べる?"


 


「シズ……」


 たっぷりと時間をかけてハル兄は言った。

 いや、実際はそんなに時間が経っていないのかもしれない。あたしが沈黙を長く感じただけで。



 ハル兄は――。




「やだ」




 たった二文字で終わらせた。

 不機嫌そうに顔を顰めて。

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