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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 


「俺が若けりゃ……ナツにも渡さねぇのに」



 ぽたり、なにかがあたしの顔に落ち、耳もとに零れていく。





「あと10年若けりゃ、俺を専属にさせるのに。絶対、他のオトコになんて触れさせねぇのに。

12年前も、人の気もしらず、勝手にオトコ作りまくって。12年間、どんな思いで、お前を生かせ続けたと思ってるんだ」



 ……夢だ。



「年は。いつまでも縮まらない年の差は……辛ぇな、静流」




 夢に違いない。



「現実を思い知るから……抱きたくなかったんだ、本当は。実戦経験と、遅漏による耐久性があるとはいえ、淫魔となったお前を生涯満足させられるような若さが、もう俺にはねぇから」



 ……唇にあてられる熱い唇は。



「……だがお前に……キス求められて、嬉しかった。たとえ……その場限りのものだとしても、オトコとして求められたのなら、俺は……んんっ」


 そこから割り込んだ熱い舌は。


「ん……シズ……。くちゅ……俺の……シズっ」


 絡み合う灼熱の舌先は、ハル兄のもののはずはない。

 このタバコの匂いも、ハル兄のものじゃない。



「恋人のように……こんな風に、お前とキスを……んんっ……したかった。……昔から……」



 だって……キスを拒否したのはハル兄だもの。

 愛を与えることはできないからと。


 だからこれは夢――。


 ハル兄に愛されているような錯覚を起こす、都合のいい夢――。





 鬼畜帝王は――超遅漏でした。

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