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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え
「……そんなん推理しながら読むなよ」
私は苦笑する。麻人の読みは当たっていたからだ。
最近は年下を苛めるものばかり書いているけど、まだ官能ジャンルに手を出す前は、年上が多かった。似せるつもりはないのに、いつも同じようなキャラになってしまう。意識してのものではなかったけれど、自然と似てしまっていたのは元カレだった。
「麻人は、なんで私の小説読もうとするの?」
もう一度、同じことを聞いた。
まだちゃんと答えてもらっていないと思い出したからだ。
「友梨香さんの考えてることが、少しくらいわかるかなって思って」
「私の考えてること?」
「昨日言ったじゃないですか。友梨香さんは天の邪鬼だから、本音がよくわかんないって。……ああ、覚えてないか」
「夜中話した時? うーん、覚えてないな」
「ならいいです」
「なんだそれ。……ノンフィクションのエッセイじゃないんだから、私の小説なんて読んだって、なんにもわかんないよ。創作なんて、嘘の張り合わせみたいなもんなんだから」
言葉だって同じ。本音だけを紡ぎながら生きている人なんて、この世界のどこにもいない。