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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
その時彩乃がどんな顔で私の話を聞いていたのか、あまり記憶にはなかった。普段の話と変わらず、相づちを打ちながら聞いていたように思う。
「友梨香は、きっと寂しいんだよ」
やがて彩乃はぽつりと言った。
「そういうアソビが好きな人、あたしの周りにもいるし店にもたくさん来るから、無理にやめろとは言わないけどね。避妊だけはしなよ。あと、変な男に引っかかっちゃダメよ」
「はーい」
――友梨香は寂しいんだよ。その時の彩乃の言葉が、鼓膜の奥に強く残った。違うよ。寂しいからセックスしてるわけじゃない。
「――本当に?」
「……え?」
すぐ近くで麻人の声が聞こえ、はっとして飛び起きた。気付けば自室のベッドだった。彩乃とのやり取りを、夢に見ていたのだと気づく。隣で麻人が電話をしていた。
「本当に、ハヤマも来るの? 珍しいじゃん。うん、あー、多分平気。七時だっけ。行く行くー。はいよー、じゃあまた」
そこで通話を切る。
「朝っぱらからうるへー」
「もう十一時ですよ。いつまで寝てんすか。仕事じゃないんすか?」
「んー……今日三時から。昨日の疲れがなんかまだ取れないみたいで、ダルいんだよね」