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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
温泉旅行から帰ってきて、結局そのまま麻人はうちに泊まった。帰るの面倒になったとかで。
「それ、年っすね。てか友梨香さん疲れることなんもしてないじゃん。運転一切してないし、下道入ってからは爆睡してたし」
「うっせ。あんた今日バイトないの?」
「ないでーす! 夜大学の友達と飲み行ってくる」
「行ってらー。その電話か、今のは」
「はい」
いい具合に夢の中の会話とリンクしてたから、びっくりして跳ね起きてしまった。
「昼食べます? なんか作りますよ」
「うーん、食べる」
「何食べたいですか?」
「任せる」
寝起き過ぎて、何食べたいとかない。
「はーい。ちょっと待っててください」
麻人はベッドから下り、台所へ消えていった。あとで洗濯しようと思って部屋の隅に置いておいた、旅行の時着ていた衣服もいつの間にか無くなっている。ベランダを覗くと予想通り、すでに洗濯して干してあった。
「ヒモっつーより家政婦? ……むしろ嫁? 昨今流行りの主夫(しゅふ)ってやつ?」
麻人の手際の良さには、関心せざるをえなかった。