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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
「彩乃ーお待たせ! 待った?」
ファミレスの中の禁煙席、窓際の一番隅の席に、彩乃は座っていた。いつも私たちが選ぶ席だ。
「さっき来たとこよ」
彩乃は若干眠そうに、頬杖をついて待っていた。
私は向かいに座り、バッグを漁り、旅行の土産を彩乃に差し出した。無難にクッキーだ。
「あらありがとう」
「土産の定番ていやあ定番だけどね。食べてよ」
「別に珍なものは期待してないわ」
彩乃は土産を受け取りバッグの中へとしまった。
メニューを眺め、私はチョコレートケーキ、彩乃はパンケーキを選び、店員を呼ぶ。ドリンクバーをつけて注文し、飲み物を持ってきてからお喋りを始める。
これもいつもの、お決まりのパターンだった。
私はコーヒーで喉をしめらし、率直に聞いた。
「何か相談事? 一昨日も電話くれたよね」
「相談事っていうか。あんたに報告したいことがあって。たいしたことじゃないんだけどね」
「何? 私好みのイケメンでも見つけた?」
茶化すように言う。彩乃は軽く笑って、でもすぐに真顔になって言った。
「――マサルさんに会ったの」