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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢
やがてぽつりと、一言。
「麻人くんも、遊び?」
「え?」
「最近ずっと一緒にいるんでしょ? 旅行まで行って。いっつも一夜限りで、セフレとか作ったことなかったんでしょ? なんで彼とは関係を続けてるの?」
「……麻人は別に、セフレじゃないよ」
「じゃあ、なんなの?」
すかさずそう問いかけてくる彩乃に、二の句が継げなかった。
友達。職場のバイトくん。コイビト。ヒモ。家政婦(夫)。ペット。犬。どれもしっくりこない。
「なんなんだろーね。よくわかんない。だけどあいつといると、楽なんだよ。家事してくれるし、その辺の男みたいに、そればっか求めてこないし。私がやりたい時に、ヤらせてくれるし」
「……それだけ?」
一瞬、押し黙る。頷こうとしたそのタイミングで、店員が注文したものを持ってやってきた。
私の前にチョコレートケーキ、彩乃の前にパンケーキを置いて、去っていった。
彩乃は一呼吸置いた。私は内心ほっとしている自分に気付く。
「あたしは彼が、あんたにとって特別みたいに見える。他の男の話をする時と、全然違ってたから」