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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢

「……そうだね。いろんな意味で特別なのかもね。体の相性もいいし」
「そこを言ってるんじゃないの。はぐらかさないでよ。麻人くんだって、友梨香が好きだから頻繁に家に来たり旅行に行ったりしたんじゃないの?」
「あいつもともとアウトドア派だもん。旅行くらい、友達とだって行ってるでしょ。帰ってきたばかりなのに今日も飲みとか行ってたし。まったく、バイト休みまくって、就活しろって話だよねー。それに……」

 私は一度言葉を切る。口にするかするまいか、一瞬迷った。だって何一つ確証はないことだ。

「それに?」

 彩乃は不自然に作った間を埋めるよう、促してくる。

「麻人は、私に会いたくて私のアパートに来てるわけじゃないと思う」
「は?」
「あいつ多分――家に帰りたくないんだよ」

 これはただの推測。だけど、前から思っていたことでもあった。家に連絡を入れないし、友達からの電話や職場からの電話は人前でも取るのに、私の前で絶対に取らない名前がある。

「家出、してるの?」
「そんなことはないと思うけど。頻繁て言っても、私んちに来るのは多くて週二くらいだし。学生だし、ちゃんと帰ってるでしょ」

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