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可愛いヒモの育て方。
第10章 目隠し
「君島が戻ったら、三月はホールだな。おまえが取ったっていう変な女からの電話、あれから来てないの?」
「はい、多分。私は取ってないですねー。バイトの子たちもなんにも言ってないから、来てないと思います」
「ふーん。まあ、平気だろ」
一応ストーカーかもしれないと私が言った件を、気にしてはくれているようだった。
そんな話をしていた時。
「おはようございまーす」
そう声がして、顔を上げると、キッチンに続くドアから麻人が現れた。
「え?」
あれ? と思い、ついぽかんと麻人を見つめてしまう。
私より先に、店長が声をかけた。
「どうした? 今日休みだろ?」
「三月の休みの希望出しにきました」
「ああ」
店長は麻人に休み希望調査票を渡し、他の作業をしにか、店長室へと消えていった。
麻人は私の隣で、手帳を見ながら休み希望調査票にバツ印をつけていく。
その横顔に違和感。
「あんた髪切った?」
「ああ、はい。昨日」
やっぱり。見慣れた黒髪が、全体的に短くなっている。
「なんか、久しぶりだね」
「え、はい……あ、ヤバっ、間違えた」