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可愛いヒモの育て方。
第10章 目隠し

 私の言葉に気を取られ、バツを付ける場所を間違えてしまったらしい。
 私は苦笑して、修正テープを取り出して渡した。

「ありがとうございまーす」

 くるりと振り向いたアングル。可愛いくて、いつもの癖でつい頭を撫でたくなってしまって、内心笑った。

「最近忙しいの?」
「うーん、なんか予定がごちゃごちゃしてて、バイト入れづらかったんで、しばらくお休みにしちゃいました」
「ふーん」

 だったら別に、私の家に来れないわけでもなかったはず。毎週のように来てたから、急に来なくなってどうしたのかと思ってたけど、特に理由もないんだろうなぁと思った。
 やっぱり麻人は、気まぐれな猫みたいだ。

「じゃ、お疲れ様です」

 休みの希望を書き終わったらしく、麻人が帰ろうとする。

「うん、お疲れ。またね」

 ふいに麻人は思いついたように振り向いた。

「今日、友梨香さん何時に終わるんすか?」
「……教えない」

 ちょっとした反抗をしてみる。なんとなく。

「夜、行く」
「行っていい? じゃないのか」

 私はまた苦笑した。

「九時の予定。十時なら確実にいると思うから、それくらいにおいで」
「はーい」

 小声でのやり取り。麻人が最近来ないから、部屋の中が散らかり放題だ。私の性欲も溜まったまま。
 麻人が来たら、いっぱいいじめてやろうと決めて、私も仕事に向かった。
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