この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可愛いヒモの育て方。
第10章 目隠し
手際の良さは相変わらず。
「あとは夜のお相手だけね」
「そんな仕事、普通の家政婦にはありません」
即座にそう返され、私は爆笑した。
ドライヤーで髪を乾かしながら麻人の後ろ姿を眺めていると、ふいに彩乃の言葉が脳裏に蘇った。
――麻人くんと恋愛すればいいのに。
「ねえ麻人」
「なんすか」
ゴミ箱の袋を取り替えながら、麻人が私を振り向く。
「麻人は、なんで彼女作んないの? 恋愛面倒なんでしょ? なんで面倒なん?」
「どうしたんすか? いきなり。友梨香さんだって彼氏作んないじゃん。なんで?」
「こっちが質問してんの」
麻人の切り返しを、すぱっと切る。麻人は軽く首をかしげて、止めていた手を再開し、溜まったゴミ袋を縛った。
シカトか、こら。
「求められるの、重いじゃないっすか」
「重い?」
「今まで付き合った彼女、みんなそんな感じだったんで。毎日会いたい会いたいうるさいし、連絡すぐ返さないと怒るし、友達との約束があっても、彼女優先させないと泣くし。女の子と話すとキレるし。毎日好きって言わないと、不安がるし」