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可愛いヒモの育て方。
第10章 目隠し
実際昔の私は、ずっとそれが怖かった。
気持ちが離れるのが怖い。私以外の女性に奪われるのが怖い。
「それを言ってたら、キリがない気がしますけど」
「まあ、確かにね」
麻人の言葉は、私の胸にグサリと刺さった。確かに、依存して、すがりつかれた側は、窮屈だろうなぁ。
麻人はその場に腰を下ろし、ぽつりと言った。
「それに恋愛って、自分に余裕がないとできないじゃないっすか」
「今のあんたは、余裕ないの?」
「え?」
麻人が顔をあげる。一瞬、焦ったような、そんな表情が垣間見えた。だけど私と目が合うと、麻人はすぐに取り繕ったような笑みを浮かべた。
「まあ、就活とかあるし。忙しいっすね」
「それ終わったら卒論だしね」
「……それ! マジやだ」
髪もようやく乾き、私はドライヤーをしまった。
麻人は立ち上がり、ゴミ袋をキッチンの裏辺りまで持っていった。燃えるゴミの日は火曜日なので、それまで換気扇の下辺りに放置だ。手を洗っているのか、水道の音がする。
部屋に戻ってきた麻人は、ベッドに座る私の目前に立ち、そっと体をかがめた。