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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客
めまぐるしく時間は過ぎ、客入りが落ち着いたのは、八時をまわった頃だった。休憩をまわし、店内を見まわして唖然。
これから片付けの山だ。うちの店はオーダー制だが、サラダやちょっとしたデザートのみ食べ放題のバイキングになっている。そのため、客が使う皿の量も多い。
「よし、休憩まわし終えたら帰ろ」
「え、帰っちゃうんすか!?」
「うん」
隣で食器を下げていた麻人が、すかさずそう突っ込んでくる。私は大仰に頷いてみせた。
「まだ片付けの山なのに!」
「知らん。頑張れー」
心のこもらない声援を送りつけ、キッチンへと入った。とは言っても、さすがにこれを放置して帰るわけにも行かず、結局上がったのは十時過ぎだった。
繁忙期のシフトはオープンの十一時から夜の九時。一時間の残業だ。
「お先に失礼しまーす」
最近こんなんばっかだ。私服に着替え、他の従業員たちにそう挨拶してホールへと出た。麻人の姿を見つけ、わざわざ声をかけにいくのもなぁと思いついその横顔を眺めていると、麻人は私に気づいたようだった。
「帰るんすか?」