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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客
私はトプトプと焼酎をついだ。
「そういえば、つまみは?」
麻人が持ってきたコンビニ袋の中は、酒ばかり。
「なんか作りますよ」
「冷蔵庫、なんもないよー」
「うん、だと思ったから買ってきた」
麻人はもう一つの袋を持ち上げてみせた。コンビニ袋が二つだと思っていたけど、もう一つはスーパーの袋だった。中身は野菜と調味料の類も少し。
「この前来た時、冷蔵庫ほとんど空だったから。適当に日持ちするもん買ってきました」
「あら、気が利く」
「彩乃さん、野菜で苦手なのあります?」
ふいに麻人が彩乃の方を振り向き、尋ねる。店にいる時のような、接客中みたいな笑顔で。
「好き嫌いは無いから、大丈夫」
つまみは野菜炒めに決まった。
麻人がキッチンに向かう。
「ほんと、家政婦みたいな子ね」
「でしょ?」
ぱっと見たところ、麻人が買ってきてくれた野菜の量は結構多かった。私は一人暮らし。店でまかないも出るから、家での食事なんて一日一食採ればいい方。日持ちする野菜でわざわざ冷蔵庫の中を潤していくということは、麻人はまたしばらく、私の家には来ないつもりなんだろうか。