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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客

 手を洗い、まないたを準備すると、キャベツを丸ごと渡された。

「全部使うの?」
「半分でいいです」

 半分、ざっくり切って、麻人に返す。麻人はそれを冷蔵庫にしまった。
 にんじんやもやしや豚肉も、使う分だけシンクの上に置いていく。私も黙々とキャベツを切った。

「友梨香さんが包丁握ってる姿、初めて見た」
「店長が握らせてくれないからね。なんか危なかっかしいんだって」
「うん、ぎこちないもん。だから調理、あんまり入らないんすね」
「うっさい」

 メインはホール。調理もできなくはないけれど、どちらかというと補助する程度だった。
 私は横目で、ちらりと麻人を盗み見た。フライパンを用意したり、調味料を用意したり、慣れた手つきで作業している。職場でこんなふうに隣に立っての作業は幾度となくあるのに、制服じゃなく、場所が私の家というのは変な気分だった。……少し緊張する。

「ん? なんすか?」

 私の視線に気付いた麻人が首をかしげた。麻人を見ていたのがバレ、つい動揺してしまう。

「は、裸エプロン似合いそうだなって」
「あーはいはい、友梨香さんどーぞ。てかそんなん考えてると指切りますよ?」

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