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可愛いヒモの育て方。
第12章 来客
例のごとく流され、おまけに怪我の心配までされる始末。
「大丈夫だってば!」
私だって、料理くらい作れるわ。めんどくさすぎてあんまりやらないだけで。
麻人はそれ以上、何も言ってはこなかった。多分、喋ってて気が散って、私が本当に指を切らないよう、配慮してくれてるみたいで。
沈黙。今さら、沈黙を気まずく思う仲ではないはずなのに、なんとなく居心地が悪い。居たたまれないような、変な気分だった。これも好きだと自覚したからだろうか。
私は耐えきれず、包丁を置いた。
「……飽きた」
「はあ?」
キャベツを切り終え、にんじんの途中。
「麻人ー、あとは頼んだ!」
「もう、何しにきたんすか?」
「野菜炒めとか、二人で作る料理でもないでしょ」
「まあ」
踵(きびす)を返し、部屋へと戻る。
「あー! キャベツ芯取ってないじゃん! まったく、どんだけおおざっぱなんすか!」
後ろから聞こえる麻人の文句は無視した。彩乃の小言も無視し、焼酎を飲みながら麻人が作る野菜炒めを待った。