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可愛いヒモの育て方。
第20章 好転
「びっみょー……」
一応千切りにしたキャベツとミニトマトも添えてみたけれど。ハンバーグが歪(いびつ)すぎて、なんとも言えず微妙な仕上がりになった。
まあもう仕方ない。ご飯は炊けてるし、付け合わせの味噌汁もできてるし、あとは慣れない料理で散らかったシンクやこげこげの残骸を片付ければ、料理に四苦八苦していたことを隠蔽できる。
そう思って、お片付けを始めようとした時だった。
ピンポーン。チャイムが鳴った。
「え、嘘……」
慌てて時計を確認すると、十時五分過ぎ。
もうそんな時間!?
今度はがチャリと、ドアが開く音がした。
「こんばんはー。友梨香さんまた鍵開きっぱ……」
麻人の声。本当に、今日だけはちゃんと閉めときゃ良かった。
間取り的に、玄関から数歩ですぐキッチンになっている。ずけずけ上がり込んでくる麻人にお片付けの住んでいないキッチンを見られるのが嫌で、とっさに麻人の目の前に飛び出した。
「うわっ!」
腰を抜かしそうなほど驚いている麻人に、いやそんな化け物にでも遭遇したような反応しなくても、とも思うけれど。