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可愛いヒモの育て方。
第20章 好転
そのまま勢いよく麻人に飛びかかる。
「なになになに……!?」
玄関にしりもちをつき、状況がまったく掴めずおろおろする麻人。
「不法侵入者は逮捕だーっ!」
「はい!?」
私も私で、忙しく動き回っていたため、テンションMAX。もうこのまま襲っちゃえ、みたいな気分で口付けようとした時。
ふいに麻人が不振な顔をした。
「……なんすか? この音」
「音?」
麻人から離れ、耳を済ます。確かに聞こえる。ごっ、ごっ、ごっ、と、一定感覚で。
何? これ。
「……なんか作ってます? 鍋とか火、止めた?」
「え!?」
慌ててキッチンに戻り、確認する。
二つあるうちの二つとも、ちゃんと火は止まっている。でも言われてみれば、何かが沸騰している音にもきこえるような……。
そこまで考えて、全身が飛び上がりそうなほどはっとした。
「あー! 風呂! 止めてない!」
沸かそうとして追い焚きしたまま、火を止めていなかったのだ。急いで浴室まで走っていき中を覗くと、沸かしすぎた湯がボコボコと音をたてていた。とりあえず火を止め、水を入れた。