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可愛いヒモの育て方。
第20章 好転
いつならいいの。ぴくぴくと痙攣し始めた足の指をもじもじさせて、どうにか耐えるしかない。
「夕飯作ってたら、お風呂のことすっかり忘れちゃって」
「夕飯? 友梨香さんが作ったんすか!?」
「うん、ハンバーグだけど。……びっみょーな出来だけど」
麻人が立ち上がり、キッチンに向かう。まだ散らかったままだ。私もよろけそうになりながら、あとを追った。
「……なんか表面ボコボコですね」
「えっと……、こげちゃって。表面だけ削ったらいけるかなって」
「削ったんすか!? 中は火通ってるかちゃんと確認しました?」
「してない!」
「殺す気!?」
そういえば、こげこげをどうしようかっていうことばかりに気を取られ、中身のことはすっかり忘れていた。
「食べてみないとわからないし、とりあえずご飯にしましょ! 年に一度くらいしかない友梨香さんの手料理だし。珍味だ珍味」
「美味しいかわかんないよ?」
「うん、珍味だからしょーがない」
「……もう、絶対バカにしてるだろ?」
「普段作らない友梨香さんが悪い」
正論すぎて言い返せない。ご飯と味噌汁をよそり、テーブルに並べた。