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可愛いヒモの育て方。
第21章 好きな人
懐かしい。最近じゃ、初っぱなから主導権を握らせてもらえないこともしばしばあるけど。
「他にはねー。私のこと、知ろうとしてくれるようになった。小説のことも、マサルのことも」
「……友梨香さんの言葉は時々天の邪鬼(あまのじゃく)で、寝惚けてる時とかちぐはぐなこと言ってるし、どれが本音かわからなくて、それを探ろうとして小説漁ってたら、同じような人が幾つも違う小説に出てきてて、元カレかなって思ったら無性に気になっちゃって」
麻人はそこで、照れくさそうな笑みを浮かべた。
「そういうこと考えてたら、俺も友梨香さんのこと、好きなんだなって気付きました。……いつの間にか好きになってたんだなって」
私と一緒だ。麻人も私と一緒だった。そこに、感動にも似た気持ちを覚える。いつの間にか、私も麻人もお互いを恋愛的な意味で好きになっていた。
でもそれがいつからか、どこからなのかもわからない。気持ちは少しずつ、少しずつ移り変わっていくもので、綺麗に線引きできるものでもないからだ。
それでも、嬉しい。
「好き……っ」
再び力いっぱい麻人を抱きしめる。
「わかったってば。もう、恥ずかしい」