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可愛いヒモの育て方。
第21章 好きな人
……そーいうことにしてたっけ?
「あれは、その、嘘だし」
「嘘!?」
「他県で就活するとか、あんまり来れないとか言うから、それが寂しかったのっ! それで、つい……」
麻人に当たってしまった。八つ当たりには違いないけれど、頭が痛くて八つ当たりしたわけじゃない。
まあ、麻人にしてみれば、どっちでもいいことかもしれないけど。
「……なんだ、そーいうことか」
麻人が苦笑する。あの頃から好きでした、って言ってるみたいで、恥ずかしいんだけど……。
「あ、てか就職は……」
そこまで言いかけて、麻人は口を閉ざす。
「……何?」
「なんでもない。ちゃんとここ来るけど、条件出していい?」
「条件?」
麻人は頷いて、私の瞳を覗きこんでくる。
「ちゃんと掃除して、ご飯作って、女性らしくして待ってて」
最後の女性らしくというのが気になるけど、力強く頷いてみせた。
「ラジャー、頑張る!」
麻人から見て『人の住めない』部屋にだけはならないようにしようと、固く決意した。料理も、買い出しに始まり麻人に頼ってばかりだったから。自分で作る。