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第5章 肉欲の薔薇

寿司屋を出た後、
エリカをタクシーの拾える場所まで送り、
清水は一人になった。

感慨深いとはこの事なんだろうか？

田舎娘だったエリカが、
一握りの人間しか成功を導けない世界で、
成功を掴もうとしている。


垢抜けなかった女が、
泣きながら体当たりで掴んでゆき、
純粋さから艶さを蓄えて、
彼女を見る者達は、
彼女に興味を持ち、
もっと彼女を知りたくなった。

裸にして、
その綺麗な身体を見たい。
時に汚されてゆく彼女を見守りたい。
官能を帯びた世界に染まらせ、
もっともっとという欲が、
彼女を光らせる。

不思議な女だ。
どんどん綺麗になる。

最初の純粋さはない。
むしろ純粋さから脱皮し、
妖艶な魅力すら兼ね備えた。

人は変わる。
転機が大きければ、
大きいほど‥‥‥


そんな事を考えながら、
歩いた。