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第5章 肉欲の薔薇

私は、タンクトップとショーツ姿になり、
布団に寝転んだ。

司馬は私の脚を開き、
右内腿に下書きを施す。

私は天井を見上げる。
これからは普通じゃなくなる人生に、
ピリオードを打つ。

いろんな思いが駆け巡る。

私がキャバクラでバイトをして、
司馬と知り合う。

アトリエに初めて行った日に、
結ばれた。

司馬の居ない生活など、
考えられない。

でも、現実は‥‥‥
もうすぐ、愛する人との別れが待っている。

愛する人が永遠を私に約束したんだ。

私の身体に永遠を残すという、
究極の愛を‥‥‥

サディスティツクで、
芸術家らしい、
最期の我儘な願いを叶えられるのは‥‥

この世で私ただ一人。





下書きが終わり、
本間にバトンタッチされた。

瞳は下唇を噛み、
覚悟を決める。

「なるべく力抜いてな。
痛むからな」

本間は私の目を見ながら、
優しく言う。

腕には昇り龍の見事な刺青が
彫られていた。


もうすぐ私の身体にも絵が入る‥‥‥‥


「あー‥‥‥‥‥」
激痛が走り意識が遠のく、
涙が溢れた。


司馬は私の手を握り、
私の涙を拭う。

優しい眼差しで私を見る。

「あー‥‥‥‥‥‥‥‥」

何度も苦痛の叫び声を上げる。
私の唇を司馬は塞ぐ。


「瞳、
愛してる」


その一言で、
この激痛も堪えた。


さよなら
昨日までの私‥‥‥‥‥