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第5章 肉欲の薔薇

映画が公開され、
公開初日の舞台挨拶の日を迎える。

テレビＣＭにも流れ、

名場面と共に、
あなたはどこまで人を愛せますか？
とナレーションが流れる。

若い女性や主婦などに、
いち早く注目され、
中谷宗馬の原作本である、
薔薇の咲く肌はベストセラーになる。

また、映画の過激なシーンが話題となり、
映画事態はＲ指定になったが、
前評判も好調。

演じた 岬エリカという女優は、
AV出身の体当たり女優として、
AV女優のエリカ知らない人達の間にも話題となった。


エリカは赤い薔薇のコサージュをつけ、
黒いスリットの入ったロングドレスを着て、
舞台挨拶にのぞむ。

「それではこの映画の主人公を演じた、
岬エリカさんご挨拶お願いいたします」
司会者から紹介を受けて、
マイクを渡される。


「この度、
薔薇の咲く肌の、
主人公 楠木瞳を演じました、
岬エリカです。

この映画を観た方が、
こういう究極の愛もあるね？
なんて話しながら、
カップルの方もご夫婦の方も、
今、隣に居る人を慈しみ
抱きしめたくなるような
そして、愛をまた一度確認しあえるような、
そんな気持ちに、少しでもなって頂けたら幸せです」

挨拶を無事に終えたエリカ。
その姿は凛とした女優そのもの。

カメラのフラッシュを浴びた。

眩しかった。

ずっと立ちたかった位置に、
私は今立っている。

エリカは胸を張り、
カメラの前で笑顔になった。